新型コロナと国の責任

  

新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、国民は不安な日々を過ごしています。国民は感染拡大が止まり、一日も早く平穏に暮らせる日に戻ることを願っています。

こうした中で、「感染が拡大したのは、国の責任なのか?」という議論が起きています。

「感染が拡大したことを、国のせいにしないで欲しい。」と主張する政府の高官がおられます。「感染拡大はコロナというウイルスのせいであり、政府の責任ではない。」と言いたいのでしょう。あるいは、「感染拡大は拡大に関与した人のせいだ。」と言いたいのかもしれません。

また、「感染が拡大している緊急時に、責任論を言っている場合ではない。」と主張する人もいるかもしれません。

私はここで、国の責任とは何かを考えてみたいと思います。

国の責任は、憲法に明確に規定されています。憲法第25条第1項には、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しており、さらに第2項には、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しています。

第1項にある理念を実現するために、第2項で国に対して政策的・政治的な責任を定めているのです。

このことから、コロナの感染拡大の防止やコロナの絶滅に関して、国には責任があるということになります。

安倍首相が全国に向けて一斉休校を要請した時、首相は「私の責任で決めた。」と説明しました。首相は、コロナの感染拡大の防止は政府の責任であり、首相の責任であることを自覚の上で、そう発言されたと思います。

「感染が拡大したことを、国のせいにしないで欲しい。」などと言っている場合ではないのです。

国の責任を自覚し、感染拡大防止に向けたあらゆる施策を総動員していただきたいと考えます。

もちろん国だけではなく、地方や事業者・団体、国民などが自らの責務を自覚しながら、見えない敵に対して必要な行動をとるべきことは言うまでもありません。