月別アーカイブ: 2024年12月

議会農政・林務委員会で審議(4)

【林務委員会】(その1)

● 信州Fパワープロジェクト(その1)

※ 信州Fパワープロジェクトとは、県と塩尻市・旧征矢野建材などが2012年に構想を発表した県産材を活用するプロジェクト。製材工場から出る端材などを原料に発電し、電力を販売する事業。征矢野建材の製材工場は15年に稼働。征矢野ウッドパワーの発電所(約100億円)は計画から5遅れの20年に稼働。県は当初プロジェクトに24億円を補助し、ソヤノウッドパワー(ソヤノ社)に9200万円を無利子融資した。発電原料の入手量が減り原料価格も高まるなどして発電事業の収益が悪化し、ソヤノ社は特別清算することになった。特別清算後は、綿半ウッドパワー㈱が事業譲渡を受けて発電を行うことになっている。

Q1 ソヤノ社は「特別清算」する見通しであると報じられているが、特別清算とは一種の破産である。県はこの状況をどう受け止めているのか?

A1(林務部長)破産法による破産とは異なり、今回は事業を円滑に継承するための対応である。特別清算することについては、県として真摯に受け止めている。

Q2 県の無利子融資の未償還額は7千万円超あるが、事業継承されても必ず返済されると約束できるか?

A2(林務部長)未償還額は新会社に継承されるため、県への返済は履行される。

Q3 清算により複数の株主企業が50億円規模のソヤノ社の借入金を肩代わり返済するなど、巨額の経済的損失が出たことについて、県はどう考えているのか?清算により、巨額の借入金が大幅に縮減され、これが新会社にとって大きなメリットになるのではないか?

A3(林務部長)申し訳なくお詫びする。一方新会社にとっては、借入金残高が大幅に縮減されるため、経営上は負担が軽減されることになる。

Q4 ある関係者は「事業規模が大きすぎると主張したのに、県や会社に押し切られた。」とか、「構想当時は行け行けどんどんの雰囲気だった。」と述べていると聞くが、事実はどうか?一体誰が事業を決定したのか?

A4(林務部長)当時は有識者による戦略会議で構想を検討したが、事業を止めるべきとか、規模が大きすぎるとの意見は出なかった。最終的には会社が判断した。

Q5 県は、プロジェクトの状況について、「企業の経営情報」として、情報開示に後ろ向きである。今後は議会や県民に対して十分に説明すべきではないか?

A5(林務部長)企業の経営情報は秘匿情報があり、公開してこなかった。しかし現在は新たな局面にあり、会社の了解を得た上で丁寧に説明したい。


議会農政・林務委員会で審議(3)

【農政委員会】(その3)

4 松本食肉処理施設の移転整備

※ 県内には中野市と松本市に2つの食肉処理施設があるが、松本の施設(JA全農長野の子会社・長野県食肉公社が運営)の立地する土地に広域ごみ処理施設を建設するために、立ち退きを余儀なくされており、移転先を決めた上で、施設を早急に建設することが求められている。

Q1 移転候補地の選定経過について説明願いたい。

A1(農政部次長)ごみ処理施設を現在の食肉処理施設がある土地に立地することになり、施設の移転を余儀なくされた。紆余曲折あったが、朝日村は広域ごみ処理施設の構成団体でもあり、受け入れを了解していただいた。

Q2 松本市の希望する時期までに移転することは可能か?

A2(農政部次長)全農長野、松本市、県、朝日村、松塩地区広域施設組合等の関係団体が鋭意協議しているところであり、現段階ではスケジュールは明確にはできない。

Q3 移転整備に要する費用について、国補助や県下全市町村の負担を求めているが、実現の見込みはどうか?

A3(農政部次長)国や県下市町村には協力を要請中であるが、基本線については了解されている。

※ 処理施設は、畜産振興と地産地消の実現のためにはなくてはならないものです。移転の時期の遅れにより、処理施設が無い状況にはならないように、関係機関が協力する中で、新施設の運用が開始できるよう期待します。


議会農政・林務委員会で審議(2)

【農政委員会】(その2)

3 水田農業(水田の5年水張ルール)

※ 5年水張ルールとは、水田の転作補助金を受ける条件として、水田の機能が失われていないことを確認するために、2022年度から5年に1回は水田に水張を行うこととされた。

Q1 水田の「5年水張ルール」は、農家の理解が得られていない。各地で開催している県政報告会でも、最も評判の悪い制度である。「農家いじめの施策であり、農家の視点が無い」との声が強い。私はこの制度は「天下の愚策」と考える。こうした状況の中で、県としてどう対応していくのか?

A1(農政部長)農家の気持ちも分かる。国に対して制度の検討を要請しており、農家に対しても説明したい。

Q2 過日委員会の県外調査で、岩手県花巻農協を調査した。ここでは、長く転作作物として雑穀を生産して来たため、水田は畑地化しており、水張ルールへの対応は難しく苦慮している。こうした例を見ても、この制度は現場の視点に欠けたものであり、実態にあった制度とするよう、国に対して要請すべきではないか?

A2(農政部長)国ではこの制度に関して今後議論されると思うので、議論を注視したい。

Q3 9月議会の委員会質問において、「5年に1度の水張ができない水田については、何らかの支援策が必要ではないか?」との私の質問に対して、農政部では「国に対して、支援策を要請する。」と答弁しているが、その後どう対応したのか?

A3(農政部長)麦・大豆・ソバは水田の転作作物としてではなく、食料自給率向上のための重要な作物として位置づけ、補助金を得られる制度とするよう11月に国に要望した。

※ 水田を畑作化した場合は、転作補助金ではなく、県が要望しているような、新たな補助制度を導入することが望ましいと考えます。