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新型コロナの予備費は妥当か?

(写真は議会閉会中の6月4日に開催された県議会健康福祉委員会でコロナ関係の審議の様子)

今国会では、コロナに対応するための第2次の補正予算について議論されています。そこで特に問題になっているのは、補正額31.9兆円のうち10兆円を予備費に計上していることです。補正額のうち3割余りを予備費に充てるというのは尋常ではありません。

国の当初予算は103兆円でうち予備費は0.5兆円(構成比0.5%)、コロナ対策第1次補正予算は25.6兆円で予備費は1.5兆円(構成比6%)ですから、2次補正の予備費がいかに大きいか分かります。

予備費は憲法第87条に規定されていて、「予見しがたい予算の不足に充てるために、国会の議決において予備費を設け、内閣の責任で支出することができる。」とされています。また、「内閣は事後に支出について国会の承諾を得なければならない。」とされています。しかし、国会の事後承諾が得られなくても、支出は有効です。

国の予算は国会の決定により成立するものですから、予算の内容については国会の審議を受けます。しかし、予備費については支出する内容は特定されないため、金額が妥当かどうかにより判断されます。また一旦予算で予備費が認められれば、執行内容と金額は内閣に一任されるのです。

予備費の支出内容は、事実上国会のチェックがかかりません。10兆円もの巨額な予算が、国会のチェックなしに支出してよいのか疑問です。

話題のアベノマスクの財源として、当初予算の予備費が充てられています。

コロナ関係予算の執行については、国会では様々な問題点が指摘されている中で、予備費の執行に国会のチェックがかからないということは大変心配です。

2次補正予算の財源はすべて国の借金であり、子や孫の世代が60年にもわたり負担するものですから、予算の審議は慎重でなければなりません。

私は予備費の計上額を最小限にとどめ、今後追加予算が必要になれば、正規の手続きにより臨時国会を召集し、補正予算を審議すべきと考えます。

臨時国会は、国会が努力をすればいつでも開催できます。コロナという国難への対応のためには、万難を排して国会を開催して審議を尽くすのが、民主主義の基本だと思います。


マスクが届く

新型コロナ対策として安倍首相の肝いりのいわゆる「アベノマスク」が、6月4日に自宅に届きました。

このマスクは、4月1日に首相がコロナの感染拡大防止のために、布マスク1世帯2枚を全世帯に配布することを表明したことから始まります。

全世帯に布マスク配布することで、入手困難な不織布マスクへの有効な対応策になるとして実施しているものです。

4月17日から郵便局により順次配布が始まりましたが、配布した中にカビや黄ばみ、異物の混入などの不良品が多数見つかり、途中で製品を検品するなどしているため、全国への配布は大幅に遅れています。

5月には不織布マスクが店頭で購入できるようになったことから、何のための布マスク配布なのかという批判も出ています。

マスクに係る費用は466億円と巨額であり、本来製造会社が行うべき不良品の検品を8億円もかけて政府の負担で行います。不織布マスクに比べて効果が劣り、サイズも小さく、洗うと縮むなど、この政策に対する評価は芳しくありません。

マスクの政府購入予算は1枚260円ですが、ドラッグストアーでは洗えるマスク(非布製)が1枚170円で買えることからも、高い買い物とも言われています。なお、厚労省は実際の購入単価は公表していません。

政府調達の場合、通常は一般競争入札により業者を決めなければならないのに、今回は随意契約というイレギュラーな方法で業者を特定する中で契約しています。納入業者がなぜ特定されたのか、理由は明確ではありません。

また、マスクは郵便局の手によって配達されていますが、その費用は26億円と巨額です。

毎日新聞社が4月に行った世論調査によると、このマスクの配布の評価は約7割が「評価しない」としています。

安倍内閣の閣僚のほとんどがアベノマスクを着用しておらず、閣僚間でも評判がよくないことが分かります。

マスクの財源は赤字国債で、今後60年をかけて子や孫の世代が負担することになります。

このように、このマスクに対する総合的な評価は低く、また税金投下の費用対効果も低いと言われても仕方ありません。

これが、政府のコロナ対策の評判を落とす一因になっています。国会は税金の使い方に対して厳しくチェックしなければなりません。

悪評が広がる中で、とても出来栄えの良い「なぞかけ」が公表されています。

「アベノマスク(布マスク)」とかけて、

「森友学園や桜を見る会」と解きます。

その心は「口封じに使います」。


コロナ対策補正予算を決定

新型コロナについては、県では必要な予算を計上して対策に当たっています。

5月29日(金)にはコロナ対策関係補正予算を、知事が専決で決定しました。この予算の内容については、6月2日(火)に開催された自民党県議団の団会議で県の担当から説明がありました。

主な内容は、次のとおりです。

① 補正を行ったのは一般会計で、総額は10億円余りです。

② 観光産業緊急支援事業 4.6億円(県民による県内旅行や観光消費拡大を促進。宿泊代金の割引や観光クーポン券の発行。6/18~7/31)

③ 飲食・サービス業応援事業 3.7億円(事業者グループや個人事業者への支援)

④ 感染予防対策物資購入事業 1.5億円(医療対策としてガウンやフェイスシールドなどを購入)

※ 専決とは、予算などの議決案件について特に緊急を要するために知事が議会を招集する時間的余裕がないことが明らかな場合に限って、例外的に知事が決定できる制度(通常は必ず議会が決定します。)。専決後に開催される議会に知事が報告し、これを議会が承認するか否か審査します。

 

当日は、県議会環境施策推進条例の制定に関する研究会、県議会情報化研究会(ペーパレス化等を研究)、自民党県議団政調会(酒井は副会長)も開催されました。

自民党県議団・団会議と政調会では、現在県が6月議会に提出を検討しているコロナ対策条例について協議しました(写真は団会議で意見を述べる酒井)。

条例の内容は、コロナや他の感染症の拡大が懸念される場合に、県対策本部を設置したり、感染の蔓延の防止のために県民などに協力を要請すること、県民などに対する支援などについて定めます。

それぞれの会においては、条例の必要性が明確でないことや、条例が県民などの活動を規制することにつながることなどから、制定に関しては慎重な意見が多く出されました。条例の扱いについては、今後も県議団で検討していきます。