政府のコロナに関する緊急経済対策が発表になり、一部の内容に変更がありましたが、国の補正予算が成立し、いよいよ各種施策が実施されます。
現金給付では、減収世帯の一部に限った30万円の給付から、所得制限を設けずに国民1人当たり10万円を一律に給付する方針に変わりました。
この給付金に係る経費は約13兆円であり、政府の補正予算案の組み替えが必要になり、予算の成立が遅れることになりました。
内容を組み替えた理由や金額の根拠は明確にはなっていませんが、内容の変更に伴う追加予算額は9兆円で、財源は赤字国債の増発に頼ります。
現金給付を行うことについて国会では異論がないものの、組み替えについては様々な意見が出されています。
これに加えて、1世帯に布マスク2枚を配布する費用466億円についても、布マスクのコロナ感染防止効果も含めて議論があります。
外出の自粛、在宅勤務への転換、営業の自粛、解雇や雇止め、学校の休校など感染拡大を沈静化するための要請が、国や都道府県から出されており、国民は不安を抱え不便な生活や経済的損失など様々な犠牲を強いられています。
初めての対策ですから、その内容について議論があることは仕方のないことですが、問題はその内容について国民が納得して対応するかどうかです。
そのためには、国民と政府の間で信頼関係が築かれているかどうかが、大変重要です。
森友学園問題、桜を見る会の問題などの公文書をめぐっては、政府の姿勢について批判の声があり、納得する説明もされていません。その結果として、国民の信頼が得られていません。
外出を7割・8割削減するよう政府から要請されても、中々実現されません。なぜこれが実現できないかは、国民が勝手だからではなく、政府の対応が不十分で、国民が政府に協力しようという機運にならないとの指摘があります。
世界的歴史学者であり哲学者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏は、著作の中で次のようなことを指摘しています。
「市民に科学的な根拠や事実を伝え、市民がこうした事実を伝える当局を信頼していれば、正しい行動を取れる。市民に十分な情報と知識を提供し、自分で可能な限り対応するという意識を持ってもらう方が、はるかに強力で効果ある対応を期待できる。」
全くその通りだと思います。