7月25日(火)に、東京でセミナーが開催され参加しました。
研修は、立命館大学政策科学部教授森裕之氏による自治体財政についての講義です。主な内容は、次のとおりです。
① 地方創生について
・ 地方創生の国の狙いは、高齢化が進み医療・介護人材が不足するなど多くの問題が生じる東京圏の対応で、地方の創生は二の次。地方では人口減少に即したまちづくりが目的。
・ これからの地方は、確かな根拠に基づいて政策立案し、強みと弱みをしっかり分析して、強みを伸ばし弱みを補う取り組みを行うことが求められる。議会は確かな根拠に基づいて政策立案をしているか、チェックすることが重要。
・ 地方創生ではコンパクトなまちづくりを目指しているが、地方ではどうしても周辺部に住み続ける人が残る。この人々への対応(看取りなど)が一番重要な課題で、周辺部に住み続ける人々を支える仕組み作り(特にコミュニティ)が重要。
② 地方交付税について
・ 国は地方交付税の総額を抑制するため、トップランナー方式(施設運営等のコストを全国平均の数値を用いずに、安価にできる自治体の例を参考にする方法)に移行しようとしており、注意が必要。
・ 各自治体の地方交付税の算定基礎に人口を使用しているが、今後人口が減れば交付税額が減少することを承知すべき。
・ 地方交付税(所得税・酒税・消費税などが財源)の財源不足のため、交付税の不足分を自治体は「臨時財政対策債」(起債)を発行し、返済は国と地方が折半しているが、本来は国が全額を負担すべきもの。
③ 今後の地方財政の留意点
・ 国は地方財政政策について、地方創生への重点化を強めており、自治体財政が地方創生政策に一層引きずられていく(引きずられないような財政運営が求められる。)。
研修を終えて考えたことは、私たち地方議員は地方財政制度をしっかり勉強し、交付税制度や地方創生事業などの本質や裏に隠されているものを理解し、その上で行動しなければならないということです。
私は伊那市職員時代に、7年間財政課で予算・決算や地方財政制度に、7年間企画課で総合計画策定・ふるさと創生事業・合併問題などに関わり、地方行財政制度はある程度は理解しているつもりですが、法律や制度は常に変化しており、常に勉強をしなければならないことを、改めて感じました。