原子力災害伝承館を調査

10月15日(木)に政務活動の一環として、福島県双葉郡双葉町にある「東日本大震災・原子力災害伝承館」の調査を行いました。

双葉町は自宅からは大変遠く、電車を乗り継いで8時間かかります。

伊那市駅から岡谷・塩尻・長野・大宮・仙台を経て常磐線の双葉駅で降り、レンタルサイクルで施設に着きました。

双葉町(人口5800人、2200世帯)は、2011年3月11日に発生した福島第一原発(所在地は隣の大熊町)の事故により避難指示が発令され、現在全世帯が避難生活中です。町のほぼ全域が現在「帰還困難区域」に指定されています。

町民や役場は転々と移動を余儀なくされ、現在仮役場は福島県のいわき市に置かれています。町民のうち3700人は県内に、2100人は県外に避難しています。

さらに双葉町は、放射能汚染に加えて大津波により甚大な被害を受けました。

海岸線と並行して走る国道6号線まで津波が押し寄せ、家屋に浸水被害が出ました。被害家屋はすべてが取り壊される予定です。

令和4年の春には「帰還困難区域」の指定が解除される予定で、町民の帰還に向けて現在環境整備を行っています。

双葉駅の西側では災害公営住宅団地を造成中で、令和4年の春には入居が開始される予定です。

「原子力災害伝承館」は、原発事故の記録を後世に伝えるアーカイブ拠点施設として、福島県により53億円を投じて建設され、この9月20日にオープンしました(写真)。

施設は3階建で、24万点の資料を収集しており、うち167点を現在は展示しています。

災害の始まりから原発事故直後の対応、長期化する原子力災害の影響などを、映像などを用いて分かりやすく説明しています。

複合災害の話を聞く「語り部講話」も開催しており、事故当時の生々しい話を聞くことができます。

当日は、県内の高校生が見学に訪れていましたが、研修には最適の施設だと感じました。

施設の見学を終えて、複合災害の恐ろしさをあらためて理解することができました。

また、未だに全町民が帰還でずに不便な避難生活を強いられていることなど原発事故のもたらすものを学ぶこともできました。

今回の原発事故は、再三にわたり津波による事故発生の危険性を専門家から指摘されながらも、これを無視して適切な対応をしなかった東京電力の無責任さが引き起こしたものだと痛感します。まさにこの事故は、人災によるものと考えます。