8月21日(火)に、長野県庁で「SS過疎対策NAGANOフォーラム」が開催され、市町村職員や県石油商業組合の関係者などが参加しました(SSとはサービスステーション(ガソリンスタンド))。
近年自動車の燃費向上や少子高齢化に伴うガソリンの需要が減少し、加えて事業者の収益率の低下や後継者不足などにより給油所が減少しています。
このため「給油所過疎地」が増えており、この問題について様々な角度から考えるためにフォーラムが開催されました。
国では、給油所の数が3か所以下の市町村を「給油所過疎地」と位置づけており、県内では31町村が該当します。これ以外に、最寄りのSSから15㎞以上離れている居住地域が存在するのは10市町村(伊那市も該当)あります。
昨年県が行った調査によると、県内の52市町村(68%)が給油所過疎の課題を認識していますが、対策や検討を進めているのは僅か9市町村(12%)でした。
給油所がなくなると住民生活に深刻な影響が出ますし、災害発生時の対応も不十分なものとなるため、真剣に対策を考えなければなりません。
伊那市では、過去に長谷地域に唯一の農協経営のSSがありましたが、経営上の理由から撤退し、市や地域で善後策を検討しましたが、対策が取れずに今日に至っています。
長谷地域は過疎化が進んでいますが、南アルプス観光の拠点であり、バイクツーリングや登山客などに大人気で、毎年多くの観光客が訪れるため、観光客向けの燃料の確保も課題となっています。
過疎地域では、交流人口が減少したりSSのないことなどにより、暮らしにくさが増すことになれば、過疎化に拍車がかかる懸念があります。
和歌山県「すさみ町」(紀伊半島の南西部に位置し、白浜に隣接する太平洋に面した人口4千人の町)は、「給油所過疎地」対策に取り組んだ先進例として全国から注目されています(写真は「すさみ町」HPより)。
町では閉鎖中のSSを買い取り、町営のSSとして再建しました。SSの存続を「過疎地域自立促進計画」に位置づけ、国の補助金を活用して施設を整備しました。そして地場のSS事業者が町からの指定管理を受け、平成29年に営業を開始しました。
過疎地の給油所の維持は困難な面もありますが、給油所運営に関する国の規制緩和策や地域の実情に合った対策を取ることにより、「給油所過疎地」から抜け出す努力を望むものです。
私は、「給油所過疎地」を抱える地域の議員として、活動をしていきます。