アーカイブ

議会委員会の調査を実施(3)

⑤ ㈱デ・リーフデ北上(再生可能エネルギーとDXを生かした農業)(宮城県石巻市)【写真】

・ 東日本大震災後の農業振興策として、再生可能エネルギーを活用してトマトとパプリカを栽培。ガラス温室栽培で、生産開始3年後から黒字経営を実現。

・ 培地に栄養液を送り、まさに工場生産と同じ。水は雨水を利用。

・ エネルギーは木質バイオマスと地中熱利用のヒートポンプを活用。

・ センサーにより、温度や日射量、風速を感知して生産に生かしている。全ての生産に係るデータを管理して、生産に活かしている。

・ 木質バイオマスは、森林組合から安定的にスギのチップを安価に購入。

・ パプリカは、韓国からの輸入ができなくなったため、生産量増加のチャンスと捉え、規模拡大を検討中。

・ 今後は、メタンガスを利用した再生可能エネルギー活用のハウス栽培施設を他の適地に設置する予定。民間資本と連携を図る考え。

※ 先進的な取組により生産販売戦略を持ち、将来においては一大生産基地化を図る姿勢は参考になった。

 

【11月1日】

⑥ 宮城県林業技術総合センター(県産材を活用したCLTパネル工法の展開、少花粉スギの生産)(黒川郡大衡村)

・ これまで使用が少ない中大規模建築物にCLTに活用できるよう研究を進めている。

・ 少花粉スギの生産拡大に向けて、試験を繰り返し行い、スギ苗の産地としての形成を図る計画。

※ 少花粉スギの生産については、長野県も取り組んでいるが、宮城県の方が進んだ取組を行っている。


議会委員会の調査を実施(2)

【10月31日】

③ 花巻農業協同同組合(雑穀の普及拡大)(岩手県花巻市)【写真】

・ 岩手県は全国の雑穀生産量の6割を占めている。中でも花巻は有数の生産地。

・ ハトムギ、キビ、ヒエ、アワの生産量が多い。

・ 新品種の「いわてあわこがね」の生産販売に力を入れている。

・ 生産開始のきっかけは、米の生産調整。減反政策として市が財政支援をしたこともあり、生産拡大に取り組む。

・ 全国的に需要は拡大しているが、生産が追い付かない状況。

※ 長年生産を続けた結果、畑地化して水田としての機能は失われているため、国が進めている「水田5年水張制度」には困惑しており、対応策が見出せずにいる。

 

④ 南三陸自伐型林業協会(自伐型林業の推進)(南三陸町)

・ 元は東日本大震災後の地域振興策としてスタート。

・ 長期的な視野に立ち、健全な森を作り、林業を振興し、合わせて海の生態系を守り、移住・定住策に寄与する活動を展開。

・ 山林所有者と自伐型林家をマッチングさせ、適正規模で山林を確保し、毎年適正規模の伐採を行い、長期的に経営を安定させる林業を目指す。

・ 作業道は、山の排水と保水を考慮して幅員を最小限にして開削している。伐採機械は大型のものは使用しない。

・ 木は安売りせず、正当な価値と価格を実現するよう創意工夫をしている。

・ 100年サイクルの山の循環を基本としている。

※ 非常にすばらしい取り組みであるが、しっかりとした理念と林業経営能力を持っていないと、継続経営は困難と考える。


議会委員会の調査を実施(1)

10月30日(水)から11月1日(金)まで、県議会農政林務委員会の県外調査が実施され、委員として参加しました。

主な調査結果について、3回に分けて報告します。

 

【10月30日】

① 岩手県議会(岩手県産米の販売戦略)

・ 岩手県は、1等米の比率が92%で全国1位。

・ 農林水産部に「県産米課」を置いている。

・ 高品質の県産米を生産し県内外に販売するため、「いわてのお米ブランド化生産販売戦略推進協議会」を県・農協・民間企業等により平成6年に設置。

・ 目指す姿は、全国トップクラスの米生産地としての地位を確立すること。

・ 現在は、「金色のしずく」(平成29年販売開始)と「銀河のしずく」(平成28年販売開始)の販売促進に力を入れている。「銀河のしずく」は、食味ランキングで最高位の「特A」。「ひとめぼれ」は従来からの主要銘柄。

・ 県内外に「いわてのお米提供店」として402店(飲食店・宿泊施設等)を登録。

※ 長野県と比較して、かなり力を入れて県産米の生産・販売に力を入れており、参考になった。

 

② ノースジャパン素材流通協同組合(木材の流通革命)(盛岡市)【写真】

・ 素材提供事業者(生産者、団体、森林組合)と提供先(製材・集成材工場、

合板工場、チップ工場)の間に入り、出荷調整、代金の支払い、価格交渉、クレーム対応、情報提供等を行う。

・ 東北地方は大型工場が多く立地しているため、このシステムは有効。

・ 原木は提供先に直送し、コストを縮減している。

・ 現金決済を行っている。

・ 組合は、全ての受発注・支払いを行うため、代金決済業務が大変である。

※ 岩手県の置かれた環境にマッチした非常に効率的なシステムであり、参考になった。しかし、長野県にそのまま導入できるとは考えにくい。長野県は、資源量はあるが、伐採量がまだまだ少ないのが課題であり、収入を上げる林業事業体の育成も今後の課題である。