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6月県議会委員会で意見と提案(2)

【農政委員会】(その2)

 

4 農業人材の確保・育成

Q1 中山間地においては、「兼業農家」の果たす役割は大きい。兼業農家への支援を行うべきではないか?

A1 集落営農や共同組織(条件不利地域で3戸以上)に対する国庫補助事業があるので、活用していきたい。

Q2 「新規就農者」の確保も重要であるが、「親元就農者」は経営ノウハウを親から教えてもらえ、保有農地・樹園地や機械などを有効活用できることから、積極的に支援すべきではないか?

A2 親元就農者の就農率は4割と低いので、今後増やしたい。そのために、国の支援制度があるので活用したい。

 

5 「食料供給困難事態対策法」

Q この制度は戦時下でもあるまいし、極めて強権的。農産物は指示されても、すぐには収穫できるものではない。畑地化した水田では、すぐに米を生産することはできない。国としては、困難事態に至らぬよう、普段から食料の安定供給を確保する施策を推進すべき。法に基づく指示が出た場合、県としてどのように対応するのか?

※ 「食料供給困難事態対策法」(令和6年6月参議院可決):「特定食料(米、小麦、大豆、肥料、飼料など)の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれが高い事態(いわゆる困難事態)」において、政府は農家等に生産の促進を要請でき、生産計画の提出を指示できることとしている。理由なく計画の届け出をしないときは罰金を科すとされている。

A(農政部) 県としては、困難事態になって国から生産を指示されても、対応は困難と考える。長野県の場合、有事の際には県民が必要な米は県内で生産が可能。

 

6 スマート農業

Q スマート農業の推進に当たり、農業機械などの導入費用が高額すぎる。経営が厳しい農業法人などで導入することは困難ではないか?

A(農政部) 費用の面からスマート化は容易ではない。個々の組織等が導入することは困難であるので、今後はスマート機械等を所有する組織を活用し、作業を委託する方法を推進したい。


6月県議会委員会で意見と提案(1)

7月1日(月)から3日(水)の3日間にわたり、農政林務委員会が開催され、委員として出席しました。

私の発言の内容を4回に分けて報告します。

 

【農政委員会】(その1)

1 水田の水張問題

Q 水田を畑地として利用している場合、「5年間に一度の水田の水張」が「水田活用直接支払交付金」の交付条件となっているが、農家は制度を理解していない。「水張」の理由を含めて、農家の理解を得るための行動をするよう提案するが?

A(農政部) 水田を将来にわたり維持していくための制度。5年に1度水張をして、水田として機能していることを確認する必要がある。畦畔を崩したり水利施設が無くなるなど、水田機能が失われた水田は、交付金の対象にはならない。地域へは市町村を通して分かりやすく説明していく。

 

2 農地の賃貸借

Q 各市町村では令和6年度末までに「地域計画」を策定するが、計画が策定されると相対による「利用権設定」の手続きが廃止される。今後は、契約を結べる相手は、地域計画の「目標地図」に掲載された担い手のみである。このことについて、制度を承知している農家は殆どない。早急に周知しないと、貸借契約が結べなくなる農家が出てしまう。県として、今後市町村や農家に対して周知徹底することを提案するが?

※「地域計画」とは 農業者や地域の話し合いにより策定される地域の将来(概ね10年後)の農地利用の姿を明確化した設計図。

A(農政部) リーフレットを配布しているが、引き続き県の「現地支援チーム」を通じて周知徹底を図る。

 

3 土地改良事業における農家負担

Q 過去に土地改良事業を実施してから年月が経過し、水路等の改修や圃場区画拡大などを早急に進めなければならないが、農家経営が苦しくなっている中で、土地事業に要する農家負担が課題となっている。負担を軽減するために、県として支援すべきではないか?

A(農政部) 負担を軽減するには、「地域計画」に農地の整備方針や農地の集積を進める方針を記述する必要があるので、今後地元と連携していく。


県議会で改正地方自治法に関する意見書を可決

6月28日(金)に開催された長野県議会本会議で、議員提案の「国の地方公共団体に対する指示権の慎重かつ適切な行使を求める意見書」(案)が可決しました(写真は当日の議会運営委員会で意見書の扱いを審議)。

6月19日に国会で可決・成立した「地方自治法」の改正案では、「大規模災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生する恐れがある際に、個別法に規定がなく指示が出せない場合でも、国が地方に対し、「補充的な指示」ができる」とする条項が特例として創設されました。

しかし、指示が出せる事態の類型や判断基準が明らかにされておらず、国の関与が拡大する可能性があることなどが指摘されています。

今回の改正は、コロナ禍で国の対応に批判があったことなどから考えられたものと推測します。しかし、安倍首相の発案による全国一斉休校の要請が法的な根拠が無いにもかかわらず、地方自治体ではこれに従わざるを得なかったことが疑問視されています。

また、指示をする事態が明確になっていなければ、指示がいたずらに拡大する懸念があります。

こうしたことから、今回「指示権を慎重かつ適切に行使するよう」要請する意見書案を可決しました。

意見書は、両院議長、内閣総理大臣、総務大臣あて送付します。