県外調査を実施(その4:木質バイオマス発電所)

6月4日(火)から6日(木)にかけて、自民党県議団の県外調査が実施され、これに参加しました。

今回は、茨城県にある施設等を調査しました。主な調査内容について、複数回に分けて報告します。

第4回目(最終回)は、神栖市にある「神之池バイオマスエネルギー㈱」が経営する「神之池バイオマス発電所」(写真は燃焼装置)です。

この会社は、中国木材㈱(本社広島県)と三菱商事㈱の共同出資により平成17年に、中国木材㈱鹿島工場内(神栖市)に設立され、営業開始は平成20年です。

中国木材㈱は、住宅構造材の国内最大のメーカーで、輸入米松材や国産杉材などを活用しています。鹿島工場は、太平洋に面しており輸入材の運搬に非常に便利です。

製材工場では、製材工程で端材等が毎日大量に発生するため、この端材等を燃料にしたバイオマス発電所を建設しました。バイオマス発電所は工場の敷地内に設置されていることから、端材等の輸送コストがほとんどかかりません。

その上、平成24年に電力の固定価格買取制度(FIT)ができてから、発電所からの電力を販売することにより、大きな収入を得ることができるようになりました。

燃料は、バーク(木の皮)、生オガ粉、乾燥オガ粉ですが、バークのウエイトも高くなっています。輸入材から発生するバークは貴重です。

発電出力は21,000KWで、バイオマス発電所としては国内最大規模です。発電所で発生した蒸気も販売しており、電力(24円/KWh)と合わせた販売収入は月額2億6,800万円にもなります。

現在燃料が不足しているため、外部から端材(チップ)を購入したり建設廃材を受け入れるなどして、燃料の約3割を外部に依存しています。

工場では、いかに安定的に燃料を確保するかが課題だとしています。

長野県では、現在塩尻市で民間製材会社によるバイオマス発電所(発電出力は14,500KW)の建設が計画(信州F―POWERプロジェクト)されていますが、燃料の安定確保と燃料の輸送費をいかに抑えるかが課題です。

神之池バイオマス発電所は、立地条件を活かすことにより安定経営が実現できていますが、長野県の計画には不安もあります。

県では既に25億円もの補助金を事業主体に交付していることから、失敗は許されません。