「ふるさと納税」再考

高額な返礼品を用意してふるさと納税を集めようと、全国の自治体間で競争が過熱しているため、総務省では返礼品の上限を納税額(寄付額)の3割以下とするなどの対策をまとめ、4月1日付けで全国の自治体に通知しました。

県内では6割の自治体が返礼率3割を超えており、今回の通知を受けて多くの自治体が返礼品の見直しを迫られます。

私は、高額所得者ほど優遇されることや、寄付により税収が減少する自治体には地方交付税が国から補てんされ、結果的には国民の負担増につながることから、この制度は根本的に見直すべきと考えてきました。

しかし、今回総務省から示された返礼率を3割以下とする対策では、制度の根本的な解決には結びつかず、更なる見直しを行うべきと考えます。

例えば、返礼率を1割以下にする、返礼品は寄付を受ける自治体にしかない物やサービスに限定する、税収が減った自治体には地方交付税による補てんは行わない、などが考えられます。

なぜ、今回この程度の見直しにとどまってしまったのか、よく理解できません。

ふるさと納税の制度は、現内閣官房長官の菅義偉氏が総務大臣の時に提唱したものです。菅官房長官は今では「影の総理」とも言われており、絶大な権力を持っています。予算や人事も掌握しています。

そうした方が提唱した制度ですから、総務省も大幅な見直しを行うことには、消極的にならざるを得なかったのかも知れません。

今回、小幅な見直しに留まったのは、菅長官のこの制度に対する思いを、総務省が忖度(そんたく)したからではないか、と推測するには無理があるでしょうか。