この本は、出生前診断について全く知識のなかった著者が 丁寧な取材を重ね、事実を偏りのない目で捉えて書いた本です。
出生前診断について書かれた本は多数有るかもしれませんが、この本は、コミックエッセイですので、とても読みやすく、また絵が優しさに溢れていて読む人を癒してくれます。
診断についての解説だけでなく、出生前診断を受けて、陽性(異常の可能性がある)だと言われたご夫婦で、「産んだ人」「産まなかった人」の決断についても 真剣な取材から得られた公平で素直な著者の思いがつづられています。
出生前診断について話題になった時、私は、障害者(この言葉を使うのには抵抗がありますが、医学用語として使います)の排除につながらないかと危惧を抱きましたが、そのことも含めて、出生前診断についての議論が余りにも少ない中で検査だけが一人歩きしている部分もあると感じました。
出生前診断については、皆が真剣に考え議論を重ねていくべきものだと考えています。その意味でもこの本は読む価値があります。
これから子供を持とうとするご夫婦だけでなく、多くの方に読んで頂きたいと思います。
※はじめての出生前診断 絵と文 中西恵里子 かもがわ出版