新型コロナウイルスによる第2波(?)が襲来し、感染拡大が続いています。
感染拡大を防止するためにはPCR検査が効果的ですが、中々受けられないというのが実態です。
では、なぜ検査体制が拡大しないのでしょうか?
私は拡大しない事情として、日本では諸外国のような「自動処理分析装置」が普及しておらず、特殊の技術を持っている検査技師の手作業に頼っているため、多くの検体を扱えないことにあると考えています。
このことは国の専門家会議でも認めています。また機器があっても外国製のために機器に合う検査試薬が入手しにくいという事情もあります。
さて、8月から秋田県がPCR検査自動装置を導入することを決定したとの報道がありました。
この機器は、秋田県大館市にあるNPS社(親会社は千葉県松戸市にあるPSS社(プレシジョン・システム・サイエンス)が製造したもので、1台の価格は850万円(8検体用)と1250万円(12検体用)の2種類です(写真:PSS社HPより)。
PSS社は、すでに欧州など50か国以上でOEM(相手先ブランドによる生産。スイスのロシュ社・フランスのエリテック社などとも提携)により500台以上を供給しています。
ドイツやフランスなどでは、PSS社の技術を生かした自動装置により、大量にPCR検査を実施しています。
全自動のため、12検体の場合には2時間程度で結果が出ます。従来の方法によると6時間程度かかっています。検査人材の養成には時間がかかりますから、自動化装置は即戦力になります。
こんなに素晴らしい機器があるのに、なぜ日本では導入が進まなかったのでしょうか?
それは、国の財政的な支援がなかったことと、国が導入に積極的ではなかったこと、そして国の認証(装置と試薬の承認が必要)に時間がかかったことなどがあげられます。厚労省では導入は地方が判断すべきなどと、呑気なことを言っているようです。
私は検査を拡大するために、自動検査装置の導入を進める必要があり、そのためには国(厚労省)の規制を緩和することが重要と考えます。
今は国難ですが、コロナ対策に関して国の規制緩和が進んでいないと感じます。以前安倍首相は「加計学園」獣医学部の開設に関しては、特区により岩盤規制を改革するという強い意志の下で、スピード感をもって対応し開設につなげました。
国難であるからこそ、スピード感をもって積極的に必要な規制緩和して欲しいと思います。また、任意の検査に対する財政支援も是非実現して欲しいと思います。