2月議会で一般質問(3)

Ⅰ 地方創生について(その3)

3 「ふるさと納税」について

・ 地方創生の一環として、「ふるさと納税」の制度が2008年に開始された。この制度は、東京一極集中と地方の財源不足を是正する目的で創設された。

・ しかし、現状は自治体同士の住民税の奪い合いが激化し、また返礼品が高額になるなどの問題が生じている。

・ この制度は、住民税が自治体間を移動するだけであり、国全体としては税収に変化は生じない。

・ この制度は地方行財政制度上の課題があるなど、様々な課題を抱えていることから、長期的には真の地方創生には寄与しないと考える。

Q1 「ふるさと納税」に対する返礼品がなくなれば、返礼品目当ての納税は大幅に減少し、本来のふるさとを応援する納税制度になると考える。返礼品を禁止する制度へと改善することを、知事会等を通じて国へ要請することを提案するが?

A1(知事)

酒井議員と同じ問題意識を持っている。返礼品により寄付先が選ばれる、高額所得者ほど有利である、返礼品代や事務費のウエイトが高くなりすぎていることなどは問題。クラウドファンディング型など寄附の使途で競えるような制度設計であったり、税控除額への定額の上限を設定することなど、本来の目的に沿った運用がされるように、県も国に要望しているが、引き続き要望を進めていきたい。

 

Q2 「ふるさと納税」の獲得競争を激化させるような対応を、県としてすべきではないと考えるが、県として今後「ふるさと納税」の増収を図っていく方針か? また、将来にわたって納税者に対して返礼品を贈る方針か?

A2(知事)

長野県を愛している方や長野県の取り組みを評価する方から支援を受けたいと考え、2つ大きな見直しをしていく。1つは、例えば「信州『学び』応援寄付金」のように、使い道で選んでいただくために、返礼品を無くしている。「信州こどもカフェ応援プロジェクト」等クラウドファンディング型についても、返礼品を無くしている。

もう1つは、手数料が多額であるので、新年度4月からは大手サイトへの委託を一部取りやめる。委託を一部取りやめた上で、県直営の特設サイトを新たに設け、使途を重視した寄附の拡大を図る。


2月議会で一般質問(2)

Ⅰ 地方創生について(その2)

2 「地方創生」について

・ 「ふるさと創生事業」と比較される政策として、2014年度に開始された「地方創生」がある。

・ この施策を実効あるものとするために、国では「地方創生推進交付金」を制度化し、地方は交付金を受けるために「地方創生戦略」を策定した。

Q1 「地方創生推進交付金」により、地方は国からの財源に頼るようになり、本来の地方自治の姿からかけ離れてしまうことを危惧する。「地方創生」制度及び「地方創生推進交付金」制度をどのように評価し、今後どう対応するのか?

A1知事)

国が人口減少等に対応するため、地方創生に組むことは評価する。一方で、自治体の地方創生戦略を国の考えに合わせる必要があることから、国主導で地方創生を進めるという発想を抜本的に変えていきたい。地方分権改革はまだ道半ばであり、知事会等で分権の議論にも取り組んでいく。

 

Q2 県の「地方創生推進交付金」対象事業において、目標値を達成した事業数は全事業の半分にも満たないが、今後どう対応していくのか?

A2(企画振興部長)

評価指標や目標水準が適切でないため、目標が未達成となっている事業がある。今後は事業ごとに適切な指標と目標値を設定するとともに、より効果的な事業を選定し、交付金を最大限活用していく。

 

Q3 長野県立大学においては卒業生の県内就職率を中期計画の目標に掲げていないが、卒業生の県内就職率の向上を図るため、高い目標を設定することを提案するが?

A3(県民文化部長)

県立大学の第1期中期計画では、県内企業等への就職促進に取り組むことを掲げており、結果として県内への就職を選択することを目指している。県内企業や地域の中核的な担い手の確保という観点から、県立大学が果たす役割は大きい。来年度は第2期の中期計画を策定するので、目標設定について大学と協議する。

 


2月議会で一般質問(1)

 

 

2月24日(金)に2月長野県議会定例会の一般質問があり、知事等への質問や提案を行いました。

今回は、地方創生と行財政改革について取り上げました。

主な内容を7回に分けて報告します。

 

Ⅰ 地方創生について(その1)

1 「ふるさと創生事業」について

・ 1980年代後半に「ふるさと創生1億円事業」が実施された。

・ これとは別に、この時代には「有利な財源」とも呼ばれる「地域総合整備事業債」の発行が認められた。地方では借りなければ損とばかりに、多額の借入をした。

Q 「ふるさと創生事業」や「地域総合整備事業債」は、財源を受ける自治体側の対応にも問題があり、国が期待した「自治体の企画力や自立性の向上」にはあまり寄与しなかったと考えるが、この制度をどのように評価しているのか?

A(知事)

  本来の目的は、「地方が考え国が支援する」システムに転換することにあったが、残念ながら、地方の意識や国の発想は変わっていない。当時の革新的な思いが地方自治・地方分権の充実に繋がらなければならないが、現状はそこに至っていない。