9月県議会で一般質問(6:最終回)

3 森林の整備・林業の振興について(その3)

(2) 県産材の需要・供給の拡大について(その2)

 

Q3 県産材の活用を拡大するために、木材乾燥能力を高める必要があるが、個々の木材加工業者が設備投資を行うことは経営上困難であるため、製材事業者が連携する中で、県内に乾燥の拠点設備を設けることを提案するが? この場合、県として必要な支援を行うべきと考えるが?

A3(林務部長)

県内にある131の製材工場のうち、乾燥施設を保有する工場は全体の約3割43施設となっている。県内の乾燥拠点の整備については、コスト等の観点からまずは乾燥施設を保有する製材工場を中心に、保有しない製材工場との水平連携の強化が有効と考える。県としては、こうした連携に意欲ある事業者の支援を通じて、地域全体の木材乾燥能力を高める取組を進める。

 

Q4 素材生産量の安定化のためには、林業従事者の育成・確保が不可欠であるが、今後どのような対策を取っていく方針か?

A4(林務部長)

素材生産量の増大に向けては、生産性を高め素材生産業務に専念できる環境を整えていくことが重要。今年度は、生産性を高めるための機械化や路網整備、スマート林業の推進等の他、人員不足に悩む地域に林業従事者や機械を他の地域から一時的に移動させる仕組みの構築に向けて取り組んでいる。林業従事者の育成・確保については、労働安全に対する対策の強化、生産性の向上と林業従事者の所得の向上、林業の認知度の向上や就業機会の確保などにより新規就業者の確保を進める。

 

Q5 県産材の生産量拡大のために、今後林業・木材産業においてどのような取組が必要で、県としてどのような施策を推進していく方針か?

A5(知事)

林業分野では、木材を効率的・安定的に供給するための路網整備やスマート林業の導入支援、木材生産に従事する担い手の育成確保、更には主伐後の再造林に対する支援などを進める。木材産業分野では、製材加工施設の整備に対する支援、製材確保の事業者間の連携強化、住宅産業等の関係事業者とのマッチング、環境に配慮した住宅建設への支援や県有施設への県産材の積極的利用などを進める。


9月県議会で一般質問(5)

3 森林の整備・林業の振興について(その2)

(2) 県産材の需要・供給の拡大について(その1)

・ アメリカの住宅着工件数が伸びるなどして、国際的に木材の需給がひっ迫し、木材価格が高騰していわゆる「ウッドショック」と呼ばれる状況にある。

・ 伊那市にある住宅建設会社「フォレストコーポレーション」は、県産材にこだわった木造注文住宅を建設しており、使用する木材は県産材でしかも天然乾燥した木材を使用している。ウッドショックの中にあっても必要な木材は充分な量を確保しており、木材価格の値上げの影響を受けていない。

・ 県産材への需要が高まっている状況下で、県内の林業・木材産業にとっては、今が大きく飛躍するチャンスでもある。

・ 原材料の自給を促進する側面からも、需要の確保・創出とともに、安定的に県産材を供給できる産業構造を構築する必要がある。

・ 一方、林業従事者の減少が進み、加えて高齢化も進んで人材不足が深刻な状況にある。

Q1 今回の急激な国産材や県産材の需要を、将来にわたって確かなものとすることが必要と考えるが、県として需要確保の面で、現在具体的にどのような対策を行い、今後どのような対策を講じていく方針か?

A1(林務部長)

現在県産の丸太や木材製品の需要が好調であり、県産材への転換のチャンスと捉え、新たな需要を確かなものとし、着実な増産に繋げられるよう、林業、木材産業、住宅産業の需給マッチングを積極的に進めている。また外材から県産材へのシフトを促すため、工務店に対し県産材製品の購入や普及啓発を支援していく。

 

Q2 県産材の活用を拡大するために、県内の関係事業者が連携して、県産材に特化した住宅建設を促進することを提案するが?

A2(林務部長)

林業、木材産業、住宅産業などの関係事業者による連携組織が県内各地に33グループあり、県産材住宅づくりに取り組んでいる。県としては、外材を主に取り扱ってきた工務店などに対しても、こうしたネットワークへの参画を積極的に働きかけていく。

 


9月県議会で一般質問(4)

3 森林の整備・林業の振興について(その1)

(1) 災害に強い森林づくりについて

・ 8月には岡谷市で土石流により死者が出るなど、近年は局地的な豪雨災害が多発している。

・ 平成18年にも岡谷市で土石流が発生して、8名が亡くなっている。

・ 岡谷市の2つの災害の共通点は、同じ里山の崩落が原因である。

・ 私は防災対策のために、砂防施設などのハードの対応と並行して、災害に強い森林づくりのために、長期的な視野に立ってあらゆる効果的な対策を講じなければならないと考える。

・ 災害に強い健全な森林づくりのために、直根による植林が効果的との提案もされている。

Q 豪雨災害が多発している中で、人的・物的被害をできるだけ小さくするために、災害に強い健全な森林づくりが求められているが、今後どのように進める方針か?

A(知事)

平成18年に諏訪地域を中心に発生した豪雨災害を契機として、「災害に強い森林づくり指針」を平成20年に策定。この指針に基づき、立地環境に適した樹木を育成する適地適木や、間伐による適正管理により根の張りのしっかりした幹の太い森林に導く取組を行ってきた。今後は流域治水の観点からも、河川の上流域における機能の低下した森林をターゲットに、森林の土砂災害防止機能や水源涵養機能を維持向上させるため、治山施設設置と森林整備とを一体的に実施することにより、森林の強靭化を図る。