6月議会で一般質問(3)

 2 感染症と「かかりつけ医」について

・ 今回のコロナ禍を経験する中で、いかに「かかりつけ医」を持つことが重要であるかが認識された。

・ 「かかりつけ医」については、国による明確な位置付けがされていないことから、患者は自分の判断で基幹病院や「かかりつけ」の医院などを受診するため、基幹病院への外来が集中する状況にある。

・ 基幹病院では外来の集中により、外来待ち時間が長くなり、勤務医の負担も重くなっている。

・ このため、「かかりつけ医」等の医院と紹介患者を基本とする医療機関の役割分担の明確化が求められている。

・ 「かかりつけ医」を持てば、普段から自分の健康管理を的確に行うことができることから、感染症にかかりにくかったり、感染しても重症化を防ぐことも可能となる。

Q1 6月7日に政府が決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(いわゆる骨太の方針)に、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と記載された。外来診療における役割分担を明確にし、限られた医療資源を有効に機能させるためにも、「かかりつけ医」を明確に制度化すべきであり、また「かかりつけ医」を推進すべきと考えるが、県の基本的な方針は?

A1(知事)

今回国から方向性が示されたが、まだ具体的にどのような内容か判然としていない。今後この制度について、医療関係者を中心に検討していく必要があるが、当面は県として「かかりつけ医」の普及について取り組む。国の制度設計にあたっては、都市部と地方、医師が多いところと少ないところなど、地域により条件が異なるので、必要に応じて国に対して現実に即した提言をしていく必要がある。

再Q 長野県の実情に合った制度にすることも重要であるので、「長野県版かかりつけ医」制度を創設することを提案する。

Q2 「かかりつけ医」等への支援を通じて地域医療の確保を図る「地域医療支援病院」の存在が県民に浸透していないが、今後どのように県民の理解を進めるのか?

A2(健康福祉部長)

「地域医療支援病院」は、「かかりつけ医」等からの紹介患者へのより専門的な医療の提供など、地域全体で医療を支える体制を構築する上で重要な役割を担っている。「地域医療支援病院」の役割や意義については、県HPや医療機関、医師会などを通じて周知を図る。

 ※ 「地域医療支援病院」:県内には12の基幹病院(上伊那では伊那中央病院)が承認されている。

 


6月議会で一般質問(2)

 1 感染症と医療について(その2)

② 「地域医療構想」と「医療計画」について

・ 現在の「地域医療構想」は今回のコロナ禍以前に策定されたため、感染症対策に関する記述がないことから、「構想」を変更して感染症対策について追加して記述すべきと考える。

・ しかし、「構想」に感染症対策を項目に加えれば、必要な病床を確保することを記述せざるを得なくなり、病床数を削減する厚労省の基本方針と矛盾してしまう。

・ そこで、厚労省は「地域医療構想」は変更せずに、「医療法」の改正を2021年に行い、感染症対策については都道府県の次期「医療計画」の記載事項に追加することとした。

※ 「地域医療構想」:各都道府県は「地域医療構想」を策定し、2025年における医療需要と必要病床数を推定し、これに対応した医療体制を整えることとしている。

 

Q1 「地域医療構想」と次期「医療計画」により、公立・公的病院や病床の統廃合と余裕施設や病床の確保という、それぞれ相反する方向性が厚労省から示されていると、私は理解しているが、新たな感染症の感染拡大時を想定して、県としてどのように対応していく方針か?

A1(知事)

次期「医療計画」における感染拡大時の医療については、平時から専用の病床を確保するということではなく、感染拡大時に既存の病床を感染症患者用に切り替えて、必要な医療人材が適切に配置されるような体制を、構築することを目指している。県としては今回のコロナ対応の経験も踏まえて、医療機関の役割分担や連携、また感染症拡大等有事の際の機動的な病床の稼働や医療人材の確保など、的確に行うことができるように検討を進める。

再Q 感染拡大時に既存の病床を感染症患者用に切り替えることは必要と思うが、急を要する治療に支障が出ることから、一定程度の遊休施設・設備を維持していくことも必要と考える。

Q2 「地域医療構想」では公立病院の統廃合を進めることを基本方針としているが、統廃合は設置市町村・一部事務組合等の議会の承認が不可欠であることから、容易ではないと考えるが、どのように進めていくのか?

A2(健康福祉部長)

将来を見据えた医療機能の再構築を進めていく上では、自治体の首長や議会、地域住民の理解を得ながら議論を進めていくことが重要であり、この点を十分考慮しながら「地域医療構想調整会議」などの場で丁寧に議論を進めていく。

 


6月議会で一般質問(1)

6月22日(水)に、県議会6月定例会の一般質問に立ち、知事等に質問や提案を行いました。

主な内容を5回に分けて報告します。

 

1 感染症と医療について(その1)

(1) 感染症と公立病院について

① 公立・公的病院について

Q1 長野県においては、コロナ感染時において公立・公的病院が果たした役割をどう評価しているか?また、公立・公的病院の必要性・重要性を、県としてどのように認識しているのか?

A1(知事)

今般のコロナ禍において、公立・公的医療機関がコロナ対応の重点医療機関の8割近くを占めている。全確保病床数の9割近くが公立・公的病院で、積極的にコロナ対応の病床確保や患者の受入治療を行っている。また、発熱患者への対応、回復患者の受入れ等の対応も含め、地域医療を支えていることに感謝する。本県では公立・公的病院はコロナ対応のみならず、救急、小児・周産期医療、災害医療等の政策医療も担っている。公立・公的病院は、県民の命と健康を守る上で非常に重要な役割を果たしている。

Q2 来年度末までに各設置者が策定する「公立病院経営強化プラン」において、新たな感染症への対応に関しては、どのような視点を重視すべきか?

A2(健康福祉部長)

「プラン」には新たな感染症の感染拡大時等に備え、平時からの取り組みを記載することとされている。新たな感染症等の感染拡大時に必要な対策が機動的に講じられるよう、予め地域における病院の役割を行政や医療関係者間で明確にしておくことが重要。県としては、各地域における調整会議等の場を通じて、各医療機関がどのような役割を担うべきかを認識してもらい、それが「プラン」に反映するよう情報提供など必要な支援をしていく。