日本ボクシング連盟の山根会長が、一連の不祥事の責任を取って8月8日に辞任を表明しました。
助成金の不正流用や審判の不正判定疑惑、暴力団との関係などについて批判を受けたことが、今回の辞任の表明につながりました。
このところ、アマスポーツ界では不祥事が次々と発覚しています。日本レスリング協会のパワハラ問題、日本大学アメフト部の悪質な反則問題などです。
なぜこうもアマスポーツ界で不祥事が相次ぐのでしょうか。
そこには、共通するものがあると考えます。
問題を起こした指導者の皆さんは、非常に強い立場で組織や選手を支配し、逆らえない環境ができています。
逆らうと選手や組織の人が酷い仕打ちを受けるため、仕方なく我慢してしまうのです。
そして、取り巻きがトップに絶対服従し、忖度を繰り返す土壌ができてしまうのです。
また、トップは選手に対しては敬意を払わず、まるで選手を道具や物のように扱っているのです。そこには選手の人格は存在せず、「アスリートファースト」とは真逆の状況になっています。
選手が活躍できる環境を作るのがトップの責務であるはずなのに、トップが自分の名声や欲望や金銭のためだけに組織や選手を支配してしまう構造がそこにあります。
こうした状況は、ビジネスや行政や政治などどこの世界にもありますが、アマスポーツの世界は一般大衆からは見えにくい存在であり、批判を受けにくいことがことを大きくしているのではないかと考えます。
また、スポーツ界は多かれ少なかれ指導者には絶対服従の雰囲気があるため、指導者は「裸の王様」になりやすいのです。
日本ボクシング連盟の山根会長の一番の問題は、暴力団と関係していたことです。
2016年には、東京五輪・パラリンピック委員会は、大会に関連する全ての事業に暴力団など反社会的勢力を参入させないことを目的として、警視庁などの関係機関と「暴力団排除共同宣言」を締結しています。
このことは、山根会長は十分承知していたはずです。
暴力団と関係していれば、アマスポーツ界のトップに居続けることはできないのです。
私は、たまたまですが6月議会の一般質問で「暴力の排除」について質問しました。暴力の排除のため、県にも県下全市町村にも「暴力団排除条例」が制定されています。
伊那市の条例第11条では「自己が暴力団と関係があることを相手方に認識させて威圧する等、暴力団の威力を利用してはならない」と規定されています。他の自治体の条例もほぼ同様の規定があります。
山根会長の言動は条例に抵触する可能性があり、極めて問題です。
アマスポーツ界には、例えば日本スポーツ協会、県には長野県体育協会、市には伊那市体育協会などの多くの団体があります。
こうした団体でも、今回のような一部首脳による組織の支配やアマチュア精神に反するような言動があってはなりません。公的なスポーツ施設の利用について、団体の優先使用を主張するような特権意識を持った団体では困るのです。
選手やスポーツを楽しむ人々のために、皆から愛される団体であって欲しいと思います。