月別アーカイブ: 2020年5月

新型コロナと検察庁人事

新型コロナと検察庁は、何の関係もありません(写真は最高検察庁HPより)。

しかし、コロナによる影響で国内が大変な状況になっており、国会でも対策について真剣に議論されている中で、今国会に提案されている「検察庁法」の改正案を急いで審議することが問題になっています。

このことについてはネット上でも炎上しており、国民の関心の高さを示しています。

過日は、元検事総長など検察OBの方々が、法務省に法律改正案に対する反対意見書を提出するという異例の事態になっています。

「検察庁法」の改正案の内容は、検察官の定年を65歳に引き上げるというものですが、改正案の一部について問題があると指摘されています。

問題となっているのは、検察官のトップの人事に関することです。検察庁には、最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁がありますが、このうち最高検察庁の検事総長と次長検事、高等検察庁の検事長(8人)は、「認証官」(裁判所では最高裁の判事、高裁の長官(8人)が該当)といって天皇による認証行為が必要な特別な役職です。任命は内閣です。

この認証官の定年延長に関して、今回の改正法では内閣が決定すれば、検事総長は68歳まで(現在は65歳)、次席検事と検事長は65歳まで(現在63歳)延長が特例として認められます。このことが、政権による人事介入の道を開くとして批判されているのです。

司法・立法・行政の3権分立の観点から、司法制度の健全性や公平性を保つためには、司法(裁判所)の独立性の確保が欠かせず、そのためには公訴権を持つ検察は司法と密接な関係があることから、検察の独立性が確保されなければなりません。

これまで検察庁の人事は、政権は関与しないという慣例が確立されていました。しかし、今回の法改正は、人事に政権が関与する道を開くことにつながります。

内閣人事局が設けられて上級公務員の人事に政権が関与するようになり、公務員の政権への忖度を生んでいると指摘されています。このことは、森友学園や桜を見る会の公文書管理問題に関しても、問題になっています。

今回の法改正により、検察の政権への忖度が生まれるようなことがあれば、公平公正な司法制度は維持できなくなります。

これまで検察は政界疑獄などの社会的影響が大きい事件については、現職の首相や大物政治家を逮捕・起訴してきました。

広島地方検察庁では、昨年の参議院議員選挙で当選した河井案里参議院議員と夫の河井克行元法務大臣の公選法違反の容疑に関する捜査をしています。重要事件の扱いは検察トップの判断が影響しますが、本来起訴相当とするところを、政権や検察トップの意向により不起訴とするようなことでもあれば、検察の威信は低下し司法制度への国民の信頼が揺らぐことにも繋がりかねません。

正しいことが正しく行われなければならないし、正直者がバカを見るような社会であってはならないと思います。

 


新型コロナ対策会議を開催

5月15日(金)に県庁で自民党県議団の政調会(酒井は副会長)が開催され、新型コロナ対策に関する知事への提言書の素案について協議しました。

県議団の知事への提言書はすでに4月9日に提出していますが、第2弾の提言になります。提言には、国の施策に関するものも入っています。

政府も県も次々にコロナ対策を打ち出していますが、これまでの対策で十分とは言えないため、更なる施策の実施に向けて提言します。

素案に対する協議の中で特に問題になったのは、まず感染者に関する情報提供のあり方です。これについては、様々な意見があります。感染者の住所、感染経路や行動歴、勤務先などを詳細に公表すべきとする考えもありますが、否定的な考えもあります。

デマ情報により飲食店を閉じてしまうという、本当に悲惨なできごともありました。感染者は被害者ですが、いつの間にか加害者として扱われてしまう可能性もあります。感染者の所属会社名を公表した事業所もありましたが、これを否定する人もあって、中々難しい問題です。

そうしたことから、県議団としてはこの件については提言書には入れないことにしました。

また、休校に伴い学習の面で格差が出ているため、これをカバーするための対策をしっかり行うことや、勤労学生に対する支援策の創設、学習に関するネット環境の早期整備を進めることを盛り込みました。

更に、飲食店の休業や学校給食の休止に伴い、農畜産物の消費が冷え込んでいるため、農業経営を持続できる支援策や長野県産農畜産物の消費拡大を図る施策も盛り込みました。

提言書は、20日(水)に県議団幹部や政調会の代表者が出席して、知事に手渡される予定です。

国では、コロナに関する経済対策として第2次の補正予算を編成する方向です。県としても国の補正予算に伴う補正予算や、県独自の施策や事業を行うための補正予算を編成する必要があります。

県の補正予算については、議会を開催して審議することになります。

 


新型コロナと水道

新型コロナの感染拡大防止に最も有効とされているのが、こまめな手洗いです。

私たちは、水道水を何の不自由もなくふんだんに使っていますが、これも市町村などの水道事業者が安全な水の安定供給に努めているからです(写真は上伊那広域水道用水企業団の水がめの箕輪ダム)。

私は、令和元年9月議会定例会で水道事業について一般質問を行いました。

国では水道事業へ民間企業の参入を進めるために、水道法を改正して「コンセッション方式」を導入できるようにしました(「コンセッション方式」とは施設の所有権を地方公共団体に置きながら、水道施設に関する施設等の運営権を民間事業者に譲渡できる仕組)。

この方式によるメリットはなく、導入による懸念事項が多く、特に大規模災害時の被災者への給水等の対応を考えた時、この方式は導入すべきではないことを指摘しました。

私は水道事業が公営であるからこそ、住民の安心と信頼が確保されると考えています。

日本では考えられませんが、世界では実に人口の3割が自ら利用できる水道施設を持っていません。

後発開発途上国(アフリカに多い)では、人口の4分の3が水と石鹸による手洗い設備を使うことができません。

そのためこうした地域では、ひとたび感染症が発生すれば感染拡大を防ぐことが困難になります。

今後アフリカ諸国などに新型コロナが広がることが予測されていますが、水道設備が不十分なことから爆発的な感染拡大が懸念されます。

感染症の拡大防止には、水道は欠かせません。新型コロナを考えた時、後発開発途上国の水道のインフラ整備に対する世界的な支援が必要です。