新型コロナと検察庁人事

新型コロナと検察庁は、何の関係もありません(写真は最高検察庁HPより)。

しかし、コロナによる影響で国内が大変な状況になっており、国会でも対策について真剣に議論されている中で、今国会に提案されている「検察庁法」の改正案を急いで審議することが問題になっています。

このことについてはネット上でも炎上しており、国民の関心の高さを示しています。

過日は、元検事総長など検察OBの方々が、法務省に法律改正案に対する反対意見書を提出するという異例の事態になっています。

「検察庁法」の改正案の内容は、検察官の定年を65歳に引き上げるというものですが、改正案の一部について問題があると指摘されています。

問題となっているのは、検察官のトップの人事に関することです。検察庁には、最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁がありますが、このうち最高検察庁の検事総長と次長検事、高等検察庁の検事長(8人)は、「認証官」(裁判所では最高裁の判事、高裁の長官(8人)が該当)といって天皇による認証行為が必要な特別な役職です。任命は内閣です。

この認証官の定年延長に関して、今回の改正法では内閣が決定すれば、検事総長は68歳まで(現在は65歳)、次席検事と検事長は65歳まで(現在63歳)延長が特例として認められます。このことが、政権による人事介入の道を開くとして批判されているのです。

司法・立法・行政の3権分立の観点から、司法制度の健全性や公平性を保つためには、司法(裁判所)の独立性の確保が欠かせず、そのためには公訴権を持つ検察は司法と密接な関係があることから、検察の独立性が確保されなければなりません。

これまで検察庁の人事は、政権は関与しないという慣例が確立されていました。しかし、今回の法改正は、人事に政権が関与する道を開くことにつながります。

内閣人事局が設けられて上級公務員の人事に政権が関与するようになり、公務員の政権への忖度を生んでいると指摘されています。このことは、森友学園や桜を見る会の公文書管理問題に関しても、問題になっています。

今回の法改正により、検察の政権への忖度が生まれるようなことがあれば、公平公正な司法制度は維持できなくなります。

これまで検察は政界疑獄などの社会的影響が大きい事件については、現職の首相や大物政治家を逮捕・起訴してきました。

広島地方検察庁では、昨年の参議院議員選挙で当選した河井案里参議院議員と夫の河井克行元法務大臣の公選法違反の容疑に関する捜査をしています。重要事件の扱いは検察トップの判断が影響しますが、本来起訴相当とするところを、政権や検察トップの意向により不起訴とするようなことでもあれば、検察の威信は低下し司法制度への国民の信頼が揺らぐことにも繋がりかねません。

正しいことが正しく行われなければならないし、正直者がバカを見るような社会であってはならないと思います。