大学の名称変更の効果は?

東京都の小池知事は、24日の記者会見で、都が設置している「首都大学東京」(八王子市)の名称を2020年4月から「東京都立大学」に変更すると発表しました(写真は大学HPから)。

「首都大学」は2005年4月に、それまで個別に存在していた「東京都立大学」「東京都立科学技術大学」「東京都立保健科学大学」「東京都立短期大学」を統合してできた大学です。名称は、全国から公募して決められました。

名称変更の狙いとしては、都が設置した大学であることを明確にし、課題とされている認知度や知名度の向上を目指すことにあります。

学生の間では、「首都大学東京の知名度が低く、都立の大学と分かってもらえないことが多くあった。」「都立大学と言った方が就職活動する上でもいい効果がある。」など、名称変更を歓迎する声が多く聞かれたとの報道があります。

確かに「首都大学」という名前を聞いて、即座に東京都立であると答えられる人は少ないでしょう。

「都立大学」は私が学生の頃にも知名度が大変高く、また難関大学だったため、高校生にとってはあこがれの存在でした。

近年公立大学の名称変更が相次いでいます。例えば、鳥取環境大学→公立鳥取環境大学、尾道大学→尾道市立大学、高知女子大学→高知県立大学などとなっています。

「公立」「市立」「県立」などの名称に変更するケースが多いことが分かります。ちなみに今年4月に開学した長野県の4年制大学は、「長野県立大学」です。

国立大学は「国立○○大学」の名称は使わず(「横浜国立大学」は唯一の例外)、私立大学も多くは「私立○○大学」の名称を使っていないので、公立大学が例えば「公立○○大学」の名称を使えば、設置者が明確になって分かりやすくなると思います。

また、「京都府立大学」「大阪市立大学」「横浜市立大学」「名古屋市立大学」などの難関大学が「府立」「市立」を使っていることも、名称を検討する上では影響があるのかも知れません。

いずれにしても、在校生や卒業生、あるいは所在地域には愛着のある名称ですから、名称変更による様々な影響をよく考えてから、変更して欲しいと思います。

都立大学の名称変更は知事が単独で決定することはできず、議会の議決を経て文科省へ届け出て実現します。

今回の名称変更がどのような影響を与えるのか、どのような効果が表れるのか注目していきたいと思います。