月別アーカイブ: 2020年11月

学術会議会員の任命拒否に思う

現在国会では、日本学術会議の任命拒否について議論されています。

「日本学術会議法」第7条では、「会員は、第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」としています。

総理大臣は会議から推薦された会員の任命を拒否できるのか、そこが問題になっています。

中曽根首相は国会で「学会あるいは学術団体からの推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎない。」と答弁しています。

2004年に会員推薦方法が学会推薦から学術会議が推薦する方法に法改正がされましたが、この改正に際して、総務省が内閣法制局に提出した法案審査資料では「日本学術会議から推薦された会員の候補者につき、内閣総理大臣が任命を拒否することは想定されていない。」としています。

つまりこれまでの政府見解では、任命は形式的なものであり、会議からの推薦に基づいて行うとしてきました。

今回、会議の会員6名について、首相は任命を拒否したのです。菅首相はこれまでの政府の見解、解釈を変えたのでしょうか。

この問題は、憲法に関係しています。今の憲法では23条に「学問の自由」が明記されていますが、この規定は明治憲法にはありませんでした。

このことについて、私が尊敬する日本を代表する憲法学者である芦部信喜氏(駒ケ根市生まれ、伊那中学校(現伊那北高校)を卒業し東京帝国大学を経て東大法学部教授)は、次のように解説しています。

「学問の自由ないし学説の内容が、直接に国家権力によって侵害された歴史を踏まえて、特に規定されたものである。」と芦部の著書である「憲法」(岩波書店173頁)に記されています。

そして、「時の政府の政策に適合しないからといって、学問研究への政府の干渉は絶対に許されてならない。」(同書175頁)とも記述しています。

私は芦部氏の解説を読んでも、学術会議の推薦のとおりに首相は任命するのが筋だと考えます。

私はこうした政府の動きが、「政府を批判する者は排除する」あるいは「政府の方針を批判する公務員は左遷する」ということが、普通に行われるようになることを恐れます。

民主主義を実現していくには、様々な意見が言える環境にしていかなければなりません。


国道153号の要望活動

10月21日(水)に、県庁で「国道153号改良期成同盟会」による県への要望活動があり、地元県会議員として同席しました。

要望事項と県の対応は、次のとおりです。

① 「伊駒アルプスロード」(国交省による権限代行施工。伊那市美篶青島~駒ケ根市赤穂北の原)

【要望】 早期の事業推進

【県の対応】 住民説明会を開催し、設計協議に入る。用地については県も積極的に関わるが、地元市・村の協力を願いたい。

② 伊那バイパス(県施工。伊那市福島~伊那市美篶青島)、

【要望】 早期の事業推進

【県の対応】 計画的に順次推進する。

③ 伊南バイパス(県施工)

【要望】 4車線化の促進

【県の対応】 引き続き推進する。

④ 松島バイパス(県施工)

【要望】 4車線化の促進

【県の対応】 引き続き推進する。

 

いずれも重要な路線であり、県会議員として各同盟会の要望事項の実現のために、引き続き活動をしていきます。


議会常任委員会の県内調査を実施(3)

10月22日(木)・23日(金)の2日間にわたり県議会県民文化・健康福祉委員会の県内調査を実施し、委員長として参加しました。

 

7 県総合リハビリテーションセンター(長野市)

・ 昨年の台風19号による千曲川の氾濫により大きな浸水被害を受け、休業を余儀なくされましたが、施設の改修や水没した医療機器の入替などにより、ようやく通常の業務を行っています。

・ この施設は、障害者支援施設(機能訓練他)・病院(80床)・補装具製作施設・身体障害者厚生相談所がある複合施設です。

・ 補装具(義足・義手)の製作は多くの方々から喜ばれています(写真)。

・ 施設の老朽化が課題になっています。

 

8 県立信濃美術館(改築後は県立美術館。長野市)

・ 来年の4月10日開館を目指して建設工事を行っています。

・ 施設のコンセプトなどについて、館長や設計者から説明を受けました(写真)。

・ コンクリートの打設から一定程度は時間を置く必要があることから(アンモニアなどを発生するため)、実際の収蔵品の展示は8月下旬になりそうです。

・ 隣接する善光寺と一体感を持たせることに配慮した設計になっています。春には施設や周囲の桜を眺めながらお酒を楽しむことができます。