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新型コロナと規制緩和

新型コロナウイルスによる感染拡大が続いています。4月14日には、政府は緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大しました。

医療現場ではマスク・ガウン・消毒用液などが不足し、医療スタッフへの感染が心配されています。このままだと、医療崩壊が起きてしまいます。

重症者の治療のための人工呼吸器も不足しています。更に、PCR検査も進んでいません。

すでに1月には消毒液の不足が心配されていましたし、韓国で効果をあげた「ドライブスルー方式」検査の導入も提案されていましたが、中々対策が進んでいません。

アルコール消毒液については「医薬品医療機器法(薬機法)」により医薬品とされており、製造・販売には厚労大臣の承認が必要です。このため、メーカーが新規参入することが困難でした。

しかし厚労省ではようやく法律解釈を緩和し、「やむを得ない場合は、高濃度エタノール製品を手指消毒用エタノールの代用品として使える」旨の通知を4月10日に出しました。

これを受けて、酒造メーカーがスピリッツ(蒸留酒)として製造することができるようになり、伊那市にある酒蔵の仙醸では、「アルカス77」(濃度77%)の製造を始めました。

人工呼吸器は、「薬機法」により製造・販売をするには審査を受けなければならず、新規の場合工場の申請や製造の審査などに4~5ヶ月かかることから、新規参入が困難であり製品の供給が進んでいません。

「ドライブスルー方式」の検査は、日本では医師の診察が必要であり、医師の確保が困難なことなどから実現していません。韓国では、「公衆保健医」が検査に活躍しました(今回の検査で2700人を投入)。この「公衆保健医」は徴兵制に伴って制度化されたもので、日本とは状況が異なります。

このように緊急事態であるにも関わらず、政府の規制緩和が進んでいないことが、コロナ対策に遅れが出ることにつながっています。

以前、安倍首相は「加計学園」獣医学部の開設に関しては、特区により岩盤規制を改革するという強い意志の下で、スピードをもって対応し開設につなげました。

当時のように、緊急時であるからこそスピード感をもって各種規制を緩和して欲しいと思います。

私が委員長を務める県議会・健康福祉委員会では、今後もしっかり新型コロナ感染症対策について提言と行政チェックを行っていきます(写真は初委員会の模様)。


議会委員会で新型コロナに関して審議

 

4月14日(火)に議会県民文化・健康福祉委員会の初委員会があり、委員長として出席しました。

コロナ感染防止のため、担当職員の出席は最小限とし、職員の席はできるだけ離して配置しました。(委員はスペースの関係で離れて座れませんでした)

委員会では、今年度の主要施策・事業等について担当部課長から説明があり、その後質疑・討論を行いました。

健康福祉委員会では、委員からコロナ対策に関して質問や意見が多数出されました。

質疑の主なものは、次のとおりです。

Q1 感染者の住所地に関する情報は現在保健所単位で行われているが、きめ細かい対応をするためにも、市町村単位にすべきではないか?

A1 感染防止拡大を再優先に現在は原則として保健所単位としているが、プライバシーにも配慮し状況を見る中で判断していく。

Q2 県ではコロナに関して膨大な業務を抱えているが、今後感染が拡大する中で組織としてどう対応していくのか?

A2 不要不急の事業を見直す中で真に必要な事業を実施することとし、組織を挙げて対応していく。

Q3 入院患者の受入体制について、県では4月末までに500人を目途に体制を整えるとしているが、これ以上の患者が発生した場合にはどう対応するのか?

A3 当面は500人体制を目標としているが、これ以上の患者が出た場合には受入れ体制を増強する。

Q4 感染が拡大しているが、県では現在「レベル1」(最高が「レベル4」)を引き上げるべきではないのか?

A4 引き上げについて、現在検討中(この後、県では長野地域と松本地域を「レベル2」に引き上げた。

Q5 PCR検査の体制は十分か?

A5 現在、県環境保全研究所、信大付属病院、長野市保健所の3箇所で最大能力・1日88検体で対応しているが、状況により民間の検査機関に委託する。

Q6 医療現場では、スタッフが心身ともに限界の中で頑張っているが、今後は大丈夫か?

A6 医療従事者を守ることが極めて需要であり、あらゆる手段で支援していく。


新型コロナと国の責任

  

新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、国民は不安な日々を過ごしています。国民は感染拡大が止まり、一日も早く平穏に暮らせる日に戻ることを願っています。

こうした中で、「感染が拡大したのは、国の責任なのか?」という議論が起きています。

「感染が拡大したことを、国のせいにしないで欲しい。」と主張する政府の高官がおられます。「感染拡大はコロナというウイルスのせいであり、政府の責任ではない。」と言いたいのでしょう。あるいは、「感染拡大は拡大に関与した人のせいだ。」と言いたいのかもしれません。

また、「感染が拡大している緊急時に、責任論を言っている場合ではない。」と主張する人もいるかもしれません。

私はここで、国の責任とは何かを考えてみたいと思います。

国の責任は、憲法に明確に規定されています。憲法第25条第1項には、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しており、さらに第2項には、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しています。

第1項にある理念を実現するために、第2項で国に対して政策的・政治的な責任を定めているのです。

このことから、コロナの感染拡大の防止やコロナの絶滅に関して、国には責任があるということになります。

安倍首相が全国に向けて一斉休校を要請した時、首相は「私の責任で決めた。」と説明しました。首相は、コロナの感染拡大の防止は政府の責任であり、首相の責任であることを自覚の上で、そう発言されたと思います。

「感染が拡大したことを、国のせいにしないで欲しい。」などと言っている場合ではないのです。

国の責任を自覚し、感染拡大防止に向けたあらゆる施策を総動員していただきたいと考えます。

もちろん国だけではなく、地方や事業者・団体、国民などが自らの責務を自覚しながら、見えない敵に対して必要な行動をとるべきことは言うまでもありません。