新型コロナと憲法改正

5月3日は、「憲法記念日」です。今年は、新型コロナが猛威を振るう中で記念日を迎えました。

今年は感染症対策の特措法に基づく「緊急事態宣言」が発令されている中での記念日を迎えたことから、この際憲法改正における「緊急事態条項」の新設と「緊急事態」を関連付けて議論すべきと主張する政治家もあります。

安倍首相はかねてから憲法改正を目指しており、中でも「緊急事態」への対応を憲法に盛り込むことに熱心です。

自民党の憲法改正素案「73条の2」では、緊急事態について次のように規定しています。

「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は・・・国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。」

ここでいう政令は通常の法律と同等の効果を持ちます。罰則も設けられるものと見られています。

自民党のこれまでの議論によると、緊急事態では政府の権限は強化され、国民の私権は制限されると言われています。

外出の自粛要請等が長期化している中で、外出者の行動を見て警察に通報したり、保育園児の散歩に文句を言ったりする人も出てきています。

より強硬な対策を取ることや、特措法に「罰則」を設けることなどを主張する人もあります。

閉塞感があり尋常ではない状況が続いていますが、ここは少し落ち着いて考えてみる必要があると思います。

新型コロナにおける「緊急事態」と憲法改正における「緊急事態」とは全く異なるものであり、同列に議論することではないと考えます。

今は、憲法改正よりコロナの収束と収束後の経済再生に国民が一丸となって取り組む時だと思います。

平和憲法が存在したことにより、戦争のない平和な国を築いて来れたことや、国民の自由と権利が保障されている社会であることを、あらためて考えなければいけないと思います。