大学時代を過ごした寮

12月に、草思社から「京大吉田寮」という本(写真集)が出版されました。

私が大学時代に暮らした吉田寮の本ということで、早速買い求めました。

吉田寮は、今から130年前に旧制の「第三高等学校」の学生寄宿舎として建てられ、京都帝国大学ができた時に大学の寄宿舎として移管され、今日に至っています。

私が寮に入ったのは、建物が建設されてから80年余り経過した時で、すでに老朽化が進んでいました。あれから50年も経過しているのに、まだ建て替えされずに昔のままです。

大学では、老朽化し耐震化もされていない建物を建て替えようとしてきましたが、入寮生は寮運営の自治権を主張して、改築のための一時退去に応じていません。

入寮当時は学生運動が盛んで、吉田寮は学生運動の拠点になっていました。学生によるストライキが実行され、大学が封鎖されることもたびたびありました。

寮は、低所得家庭の子弟に限り入ることができました。同じような境遇の寮生が多かったためか、皆仲良しでした。

吉田寮には風呂が無いため、毎日銭湯へ行きました。

フォークグループ「かぐや姫」の曲「神田川」を思い出します。「♪ 赤い手拭マフラーにして 二人で行った横丁の風呂屋 一緒に出ようねって言ったのに いつも私が待たされた・・・」。

トイレは古い共同トイレで、冬は電気コタツで暖を取っていました。

寮生が自主運営する食堂がありましたが、食事は昼と夜だけ提供されました。昼は1食50円、夜は100円程度でした。

不自由な生活でしたが、寮生同士の触れ合いなどがあり、楽しい生活を送ることができました。仲間で酒を酌み交わしながら、天下国家について論じあうことも多くありました。

今の私の原点が、吉田寮での生活にあるような気がします。

私にとって吉田寮は、思い出が一杯詰まっているとても大切な存在ですから、そのまま建て替えずに置いて欲しいと、勝手なことを思っています。