ふるさと納税と予算編成

総務省では、ふるさと納税の過熱した返礼品競争に歯止めをかけようと、納税(寄付)額の3割以下とする「返礼割合」や、「返礼品とすべきでない品目」を示した通知を、4月1日に全国の自治体に送付しました。

これを受けて、県内の各自治体では返礼割合や返礼品の見直し作業に着手しましたが、総務省の通知のとおりには見直しができない自治体もあるようです。

見直しにより「当初予算で見込んだ寄付額(歳入)を確保できない場合は、財源に穴が開き、事業の執行に影響が出る。」とする自治体もあります。

私は、そもそも確実性のない寄付をあてにして、予算編成を行っていること自体に無理があると考えます。

ふるさと寄付は、寄付者が任意に寄付先(納税先)の自治体と金額を決めるものですから、その年度にいくら寄付が集まるかは、予算編成時には分かるはずがありません。

地方の財政運営の指針である「地方財政法」の第3条は、「予算編成」について規定していて、「地方公共団体は正確に財源(歳入)を捕捉し、現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上(予算編成)しなければならない。」としています。

地方財政法に照らせば、寄付額が見通せない中で寄付額を算定し、予算に計上することはあってはならないのです。

私は、その年度の寄付額が確定した時点(年度末)で、寄付総額を基金(財政調整基金や目的基金)に積み立て、次年度以降に基金から必要額を取り崩して歳入予算に計上し、事業の財源に充てるという手法が望ましいと考えます。

健全財政を維持する観点からも、寄付に過度に頼らず、寄付はないものとして予算編成を行うくらいの姿勢が求められると思います。