市町村合併を考える

諏訪湖周の岡谷市(5万1千人)、諏訪市(5万1千人)、下諏訪町(2万1千人)の合併協議会設置に関する議案が、20日に開催される各市・町の臨時議会に提出されます。そして、即日採決される見通しとのことです。

これは、「合併特例法」の規定による「住民発議」の手続きにより、各市・町長が議案を議会に提出することになったものです。

議案には各市・町長の意見書が付けられますが、その内容が公表されました。

それによりますと、岡谷市長・下諏訪町長は合併協議会設置に反対の意思を明確にし、諏訪市長は設置には慎重な姿勢を示しています。

各市・町長の意見書は、あくまでも「諏訪広域連合」構成6市町村の合併を目指すことを念頭に置いてのものと考えられます(写真は「諏訪広域連合」のHP(諏訪湖)より)。

各議会の議員の考えも一致していない中で、この意見書の内容が議決にどう影響するのかが注目されています。

合併までには、合併協議会設置の議決(全市・町)→合併協議会設置→合併協議→合併の議決(全市・町)→県知事へ合併の申請→県議会の議決→県知事の決定→総務大臣告示→合併と、いくつものハードルがあります。

私は、2003年に上伊那北部6市町村の任意合併協議会(法律に基づく組織ではなく、事前協議のためのもの)の事務局長に選任されました。

そして、各市町村で法定合併協議会に進むかどうかの議論が行われ、辰野町・箕輪町は自立を目指して任意協議会から離脱し、その後南箕輪村が離脱し、合併協議は休止状態になりました。

その後、伊那市・高遠町・長谷村それぞれで合併の議論が進められ、法律に基づく合併協議会が設立され、合併協議が整い2006年3月に合併して「新伊那市」が誕生しました。

私は、2004年から市の助役(今の副市長)として3市町村の合併協議に参加しましたが、合併が成立した最も大きな要因は、各市町村長の合併に向けた強い意思があったからだと思います。

合併の時点で市町村長は自動的に職を失いますが、それぞれの市町村長が失職を覚悟で合併協議を進めたことが大きな力となりました。

市町村長のうち一人でも自らの職を失うことに抵抗があったとしたら、合併協議は頓挫していたことでしょう。

合併の目的は、各市町村の住民の幸福実現や福祉の向上です。

従って、合併が成功するかどうかは、合併前の旧市町村民が「合併して良かった」と実感できる行政運営やまちづくりが、できるかどうかにかかっています。

合併は目的ではなく、あくまでも手段です。合併前の旧市町村民が対等の立場に立ち、お互いに尊重し合い、譲り合い、心を合わせていくことが、合併の成否に影響します。合併は、結婚にたとえられます。相手の長所を尊重することが大切です。

私は合併と同時に、新伊那市の副市長に選任されましたが、いつもそうした考えを持って、市政運営に従事していました。

合併の成否を判断するには少々時間はかかりますが、私は新伊那市の合併は必ず成功し、将来市民から正しい選択をしたと評価される時が来るものと確信しています。

諏訪湖周3市町の議会には、将来を見据えて正しい判断をしていただきたいと思います。