国民の知る権利と議員の知る義務

国民の「知る権利」は法律のどこに書いてあるのでしょうか? 憲法第21条では、「言論、表現の自由は保障する」と規定しています。

この条文には、「知る権利」という言葉はありませんが、この「言論、表現の自由」の中には「知る権利」も含まれています。

「表現の自由」は、言論を通じて自己実現するという権利と、言論活動により国民が政治的な意思決定に関与できる権利を保障することを内容としています。

そして、知る権利を保障して国民の政治参加を可能にするために、政府などに対して情報公開を請求できる権利が認められています。

ところが、森友問題・加計問題・さくらを見る会などでは、文書が改ざんされ廃棄されるなどして政府の情報が公開されず、国民の知る権利が守られていません。

一方、「議員の知る義務」はあるのでしょうか?そうした義務は、法律上は何もありません。

しかし私は道義的には、「議員の知る義務」はあると考えています。

議員は行政をチェックし、政策提案を行うことが仕事です。また、地域の声を行政に反映することが重要な仕事です。

そのためには、常に情報を収集し、地域の声を聴く努力が不可欠です。特に、国や地方や地域の課題に関する情報は知っている必要があります。

このために、マスコミ情報や行政の持つ情報、更にはネットや書籍、資料などを活用しなければなりません。議員は議会一般質問や委員会の質疑などでも情報を集めることができます(写真は議会一般質問で知事の答弁を聞く酒井)。

議員の仕事を適切に行うには情報を知っている必要があることから、議員には「知る義務」があると考えます。

今上伊那地区では、高校改革・高校再編に関する議論があります。しかしこれに関して「私は知らない」と平気で発言する市町村議員がいると聞きます。

こんな重要なことを知らないのは、知らせない側が悪いのか、知らない議員が悪いのでしょうか。私は、知ろうと努力しない議員に問題があると考えます。まさに「議員の知る義務」を怠っていると思います。

高校改革・高校再編に関する情報は、これまで県ではホームページでも公表してきましたし、説明会・意見交換会の実施やパブリックコメントなども実施してきました。マスコミでも詳細に報道してきました。

上伊那では「地域協議会」を設置して議論を進め、県に対して提言書を提出しています。

当然のこととして、県ではその都度県議会に協議した上で議論を進めて来ました。

国民の知る権利を保障する上で、マスコミの果たす役割は重大です。マスコミには、これまで以上に正しい情報を適時適切に発信していただくことを希望します。