アベノマスクのその後

不織布マスクがようやくドラッグストアーなどの店頭に並び始め、価格も下がっていることから一安心というところです。

安倍総理が退任することになったことから、布製の「アベノマスク」も話題にならなくなりました。

後任の菅さんは官房長官在任中から「アベノマスク」は着用せず、もっぱら不織布マスクを着用していたことから、「スガノマスク」が話題になることはないでしょう。

さて、「アベノマスク」(予算額466億円)は各家庭に2枚ずつ送付されましたが、これとは別に介護施設や障がい者施設、保育所など全国の50万事業所全てを対象に、職員など1人につき4枚を配布する計画があります。

当初の計画では247億円をかけて、3月から9月にかけて1億5千万枚を配布する予定でした。

すでに6千万枚は配布済みとなっていましたが、マスクが比較的安価に入手可能になったことなどから、布マスクの配布は税金の無駄遣いとする指摘が相次いだため、希望する施設のみに配布する計画に変更しました。

これまでのところ希望のあった数は、配布予定の6%に当たるわずか460万枚で、これ以上の希望がなければ政府の備蓄に回されることになります。

各世帯に配布した「アベノマスク」は評判の悪い施策でしたが、各施設に配布される予定であった布マスクも、無駄な施策と言われてしまいそうです。

一方、7月に信州大学病院が県内の医療機関を対象にアンケート調査を行ったところによると、マスクなどの防護具が不足している実態が明らかになりました。

特に医療用の「N95マスク」が不足しており、医療機関では消毒して再利用するなど苦労を余儀なくされています。

現在国内で使用する医療用マスクは、ほぼ100%を中国からの輸入に頼っており、国際的にも逼迫している状況にあることから、今後国内で生産できる体制を早期に作る必要があります。

こうした状況を見るにつけ、247億円もかけて布製マスクを施設に配布するより、医療機関にマスクが届くような施策を優先すべきと考えます。

国では4月に「感染症緊急経済対策」を決定し、マスクの供給増加策を打ち出しましたが、未だにこうした状況にあることは理解できません。