「ふるさと納税」を考える

高額な返礼品を用意してふるさと納税を集めようと、全国の自治体間での激しい競争が続いているため、総務省では「返礼品を地場産品等に限定」するよう、4月1日付けで全国の自治体に通知しました。

これまで総務省は、「返礼品は寄付額の3割以下にする」、「家電や貴金属などを返礼品としない」ことなどを内容とする通知を出してきましたが、中々徹底されませんでした。

今回総務省から通知された内容が徹底されれば、状況は改善されると思います。

そもそもどこの自治体でも扱えるような返礼品が用意されているために、寄付者は自分が一番得をする自治体に寄付するのであって、寄付先はどこでも構わないのです。

多額の寄付を集めた自治体は得をしたと考えるかも知れませんが、寄付を持っていかれた自治体(実質税収減の自治体)は、心穏やかではいられません。

その上、隣接する自治体間や同一広域圏内の自治体間で寄付金が行き来し、その結果税収が減った自治体は、相手の自治体を恨むことにもつながります。

寄付金額の多寡はさておいて、隣近所は仲良くしましょうね、などという理屈は通用しないと思います。

伊那市が返礼品として扱っている「東京ドームシティーチケット」(提供は東京ドームシティー)。伊那市HPより

伊那市では昨年11月からライザップの商品を返礼品として扱い、全国から注目されましたが、4月からは扱っていません。

ライザップが商品を提供する条件としていたライザップの運動プログラムを、伊那市では、新年度から実施しないことになりました。

そのため、ライザップとしては商品を提供するメリットがなくなり、それが返礼品の扱い中止の理由と推測されます。

私は、今回の総務省の通知の内容は当面の対応としては理解できますが、地方財政制度を根本から歪めているこの制度は、早期に廃止すべきと考えます。